白内障手術で使用する眼内レンズのこだわり

自分自身や家族の白内障手術で使用したいと思える眼内レンズを使用しています。   ※保険適応レンズですので、追加費用は不要です。

1. 乱視矯正眼内レンズを積極的に使用しています

白内障手術患者さんの3人中1人には視力に影響する角膜乱視があります。

当院では、乱視のある患者さんには原則的に乱視矯正眼内レンズ(トーリックIOL)を使用して、乱視を軽減するよう努めています。

乱視矯正眼内レンズがあまり普及していない原因の一つとして、患者さんの正確な乱視の角度が手術時にわかりにくいという点があります。当院では角膜形状解析装置「CASIA(カシア)」での撮影画像を使用して乱視矯正レンズを眼内の適切な位置に留置しますので、精度の高い乱視矯正が可能です。

乱視矯正眼内レンズが保険で使用できるようになった2010年以降、1,400例以上に乱視矯正眼内レンズを使用しました。

保険適応レンズですので、追加の費用は不要です。

角膜形状解析装置CASIA」での撮影画像

2. 保険診療で使える2重焦点眼内レンズを積極的に使用しています

乱視が軽く、網膜や視神経に病気がない患者さんには、2重焦点眼内レンズを原則的に使用しています。

当院で使用している2重焦点眼内レンズは「レンティス コンフォート(参天製薬)」です。

このレンズが発売されるまで、保険診療で使用できる2重焦点眼内レンズはありませんでした。「レンティス コンフォート」は現在、保険診療で追加費用なく使える唯一の2重焦点眼内レンズで、2019年春に発売されました。

当院ではこれまで、約950例に使用しました(2023年12月時点)。

通常の単焦点眼内レンズでは1か所(通常は遠方)のみにピントが合いますが、「レンティス コンフォート」は遠方〜中間距離(約1メートル)までピントが合う眼内レンズです。近見距離(30〜40cm)での裸眼視力は、単焦点眼内レンズよりも良好ですが、自由診療あるいは選定医療で使用する他の多焦点眼内レンズよりも劣ります。しかし他の多焦点眼内レンズで問題となる夜間のグレアなど不快な症状が少ないため、安心して使用できます。保険診療の範囲内で、私自身が白内障手術を受けるなら、このレンズを使用してもらいたいと思える眼内レンズです。

保険適応レンズですので追加費用は不要です。

 

※2020年11月、乱視を矯正できる2重焦点眼内レンズ「レンティス コンフォート トーリック」が発売されましたので、乱視のある患者さんにも「レンティス コンフォート」を使用開始しています。

保険適応レンズですので追加費用は不要です。

「レンティス コンフォート」

3. その他の高機能な眼内レンズ (2022/10/25)

「テクニス アイハンス(ジョンソンアンドジョンソン)」はレンズの中央2ミリの部位に+0.5Dの加入が入っており、通常の単焦点レンズよりも中間視力が良好な眼内レンズです。2021年10月に発売されました。網膜や視神経に病気があったり、散瞳不良で多焦点レンズ「レンティス コンフォート」を使用できない患者さんには、「テクニス アイハンス」「テクニス アイハンス トーリック」を使用しています。